— 自分の頭痛タイプを簡単に見分ける方法
頭痛は多くの人が経験する身近な症状ですが、「緊張型頭痛なのか、それとも片頭痛なのか」を正確に見分けるのは意外と難しいものです。
しかし 頭痛のタイプによって治療法や生活で気をつけるポイントは大きく異なる ため、自分の頭痛の特徴を理解することは非常に重要です。
本記事では、脳神経内科の臨床経験をもとに、緊張型頭痛と片頭痛を見分けるためのシンプルなチェックポイント をわかりやすく解説します。
目次
1. 頭痛の性質で見分ける
まず注目したいのは、痛みそのものの「性質」です。
● 緊張型頭痛
- 締めつけられるような痛み
- 「重い」「鈍い」「圧迫される」感覚
- **頭全体」が痛くなることが多い
- 痛みの強さは 軽度〜中等度
デスクワークのあとや、肩こり・ストレスがたまった時に起こりやすく、たいていはゆっくりと始まり長時間続きます。
● 片頭痛
- ズキズキ・ドクドクと脈打つ痛み
- 片側だけが痛むことが多い(両側の場合もあり)
- 普段の生活や仕事ができなくなるほどの 中等度〜強度の痛み
「ズキズキ」「鼓動に合わせて痛む」という表現が特徴的です。
2. 頭痛以外の症状の有無で見分ける
次に重要なのが「随伴症状」です。
● 緊張型頭痛の随伴症状
- 肩こり、首こり
- 目の疲れ
- 体のだるさ
吐き気や光・音に過敏になることは ほとんどありません。
● 片頭痛の随伴症状
- 吐き気・嘔吐
- 光や音がつらい(光過敏・音過敏)
- においに敏感になる
- 動くと悪化する
ポイントは、
頭痛のせいで「暗い部屋で静かに休みたくなる」なら片頭痛の可能性が高い
ということです。
3. 発作のパターンで見分ける
● 緊張型頭痛
- 毎日〜週数回など「慢性的」に発生
- 長時間続きやすい(数時間〜丸1日など)
- 天気や睡眠リズムの影響は比較的少ない
● 片頭痛
- 月に1〜数回の発作的な痛み
- 数時間〜3日間程度続く
- 生理、天気(気圧変化)、寝すぎ・寝不足などで誘発されやすい
「周期性」「天気や睡眠で左右される」と感じる人は片頭痛寄りです。
4. 改善することで見分ける
● 緊張型頭痛は…
- ストレッチ・入浴・マッサージで改善しやすい
- 市販の鎮痛薬が効きやすい
● 片頭痛は…
- マッサージや入浴で むしろ悪化することがある
- 鎮痛薬が効きにくい場合がある
- 片頭痛専用薬(トリプタン・ジタン・ゲパンタン)が特に有効
「マッサージをしたらひどくなった」
「天気とともに頭痛が来る」
…という人は片頭痛の典型例と言えます。
5. 簡易セルフチェック:あなたはどのタイプ?
以下の項目に当てはまるものを数えてみてください。
● 緊張型頭痛チェック
- 締めつけられる、重い痛み
- 肩こり・首こりがある
- パソコン作業などで悪化
- 吐き気はほとんどない
- 光・音でつらくならない
- マッサージすると軽くなる
当てはまる項目が多ければ 緊張型頭痛の可能性が高い です。
● 片頭痛チェック
- ズキズキと脈打つ痛み
- 吐き気、光・音過敏がある
- 動くと痛みが増す
- 天気・気圧で起こりやすい
- 月に数回、発作的に起こる
- マッサージや入浴で悪化することがある
当てはまる項目が多ければ 片頭痛の可能性が高い です。
6. 治療の方向性も大きく異なる
緊張型頭痛
- 姿勢改善
- 眼精疲労のケア
- ストレッチ、リラクゼーション
- 適度な運動
- 必要に応じて鎮痛薬
片頭痛
- 専用の治療薬(トリプタン・ジタン・ゲパンタン)
- 生活のリズムを整える
- 気圧変化への備え
- 食事の誘因(チョコ・赤ワインなど)のコントロール
- 予防薬の導入(頻度が高い場合)
“同じ頭痛薬”でも効果が違うのはこのためです。
7. まとめ:頭痛タイプを知ることが治療の第一歩
緊張型頭痛と片頭痛は、一見似ていても痛みの質・随伴症状・発生パターン・対処法が大きく異なります。
- 重い・締めつけられる → 緊張型頭痛
- ズキズキ脈打つ、光や音がつらい → 片頭痛
- マッサージで良くなる → 緊張型頭痛
- マッサージで悪化する → 片頭痛
このように特徴を知ることで、自分の頭痛を適切に見極める手助けになります。
もし
- 市販薬が効かない
- 発作が増えている
- 痛みが強く仕事に支障が出る
といった場合には、脳神経内科・頭痛専門医に相談することで、より適切な治療を選ぶことができます。
